ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

2019-01-01から1年間の記事一覧

名前

新しく出会う人の名前が覚えられない。 いや、正確には顔と名前が一致しない。 名前を覚えるのはむしろ得意で、漢字までしっかり書けたりするから驚かれるのだけど、その名前が誰のものだったのか?これが苦手だ。 名前は、いい。何故かは分からないけどすご…

花びらのために

めまぐるしく過ぎていく春の日に、ぼんやりとのどかに立ちすくんでいた花が涙をこぼす頃に居なくなってしまった人のことを思い出す。 あっという間に散っていく花びらは色々なものに喩えられる。桜がシャワーのように舞っている景色はきっと誰もが好きだと思…

大学という箱庭

大学3年生になった今、入学当時のことを思い出す。2年前、何もかもが一新された環境におかれた私は、半ばトランス状態に陥っていた。配られるビラの嵐、品もへったくれもない強引な勧誘、すべてが新しく出会う人ばかりで情報量の多いイベントの数々。どこま…

先日、部屋を掃除したときに、本棚に置いてある小さな紙袋の存在を久しぶりに思い出した。その袋の中には、お菓子の箱がいくつか入っている。何の変哲もないお菓子の箱が、宝箱に変わった瞬間のことを思い出した。 高校時代に私が所属していた部活は、誕生月…

31×6の春

「おめでとう、新しい場で沢山の思い出作って」(僕とふたりで) 新しい人がたくさん流れ込む記憶の中に居座る機能 春風がいたずらっぽく君の髪宛に花びら届けてきたので 白抜きの広告みたいに焼き付けた いずれ散りゆく花びらならば 春、にじむ気持ちを歌うチ…

リグレット

もう、信頼をぶっ壊すことは、しない

またね

「またね」という別れの言葉がある。これから春が芽吹き始める。桃色のじゅうたんの上で、たくさんの「またね」が飛び交うのだろう。 「さよなら」だと寂しすぎるから、また会いたいと強く願うから、親しい人と交わされる、「またね」という約束。 僕たちは…

卒業前夜

今日は「卒業」を意識する一日だった。 母校は今日卒業式を迎えたという。私が直接知っている代はもう高校から完全にいなくなるという事実に頭がついていかないが、もうそこまで時間が経っているのだ。 なので卒業アルバムを開いてみたら、高校時代の日々が…

3月の色

熱海に行って、日本一早く咲くという梅の花を見てきた。河津桜も少し咲いていた。 陽の光が眩しくて画面がよく見えなくてボケているが気にしない。 今年は、なんだか春が少し早めに来たような気がする。嬉しくて仕方がない。 3月はなぜだかインフルエンザ発…

名前のない文章の断片

何を書いてあるかじゃなくて誰が書いたかでいつまでも判断している自分の浅ましさをだんだん受け入れられるようになってきた。 旅行記は自分が書きたいタイミングで書けばいいと思った。モンサンミッシェルの魅力を表すのには時間がかかりすぎる。 満点より…

フローズン・カメレオン

多数決をとりますって言って、皆が目を伏せて挙手するやつ、あったと思う。でも結果を集計する人は、誰がどっちに手を挙げているか分かるわけで、僕は怖かった。自分一人だけが挙げていたらどうしようって怖かった。 学校の夏休みが終わった9月、「運動会の…

フランス・ドイツ周遊旅行記④〜雪原と化したヴェルサイユ〜

前回 シリーズ第一回 1月24日 パリを脱出 凱旋門からルーヴル、エッフェル塔と昨日はパリを網羅して疲れてよく寝た。今日はパリから少し足を伸ばしてヴェルサイユ宮殿に向かう。 またパンが三種類だけ登場する昨日と全く同じ朝ごはんを食べる。昨日はなかっ…

フランス・ドイツ周遊旅行記③〜迷宮のルーヴル美術館〜

前回 シリーズ第一回 迷宮のルーヴル美術館 スリ集団をタックル気味にかわし、ルーヴル美術館に侵入する入口を探す。これがなかなか見つからない。 少しウロウロしていると、とても有名なルーヴル・ピラミッドが見えてきた。ランドマーク的存在であると同時…

Blanket

夕方から楽しみな予定しか入っていない日に昼間まで寝て、だらっと過ごしている瞬間の、ゆっくりと流れている幸せをつまみ食いするような感覚が、ずっと続けばいいなと思う。 太陽の光が窓から差し込んできて、空気が粒のように輪郭を持った冬の昼下がりの中…

フランス・ドイツ周遊旅行記②〜彼女の手の中のMy wallet〜

前回はこちら 1月23日 日本人と邂逅 長時間移動とクソデカスーツケースを抱えた階段の昇降に疲れ切った我々は、二つ星ホテルにてぐっすり眠ってしまった。しかし、時差ボケなのかまだ朝が来ていないのに目覚めた。 窓から見える景色はこんな感じ。異国の地で…

シーソーの向こう側

何か好きなものを語るとき。「○○だから良い」と一緒に何かとの比較があった場合、本当に好きなのかな?と思ってしまう。本当に好きならば、比較なんていらなくて、ただそれだけで好きだと思えるはずで、「好きなものは好き!」と言えるはずで。 好きなものを…

フランス・ドイツ周遊旅行記①〜国際線でわんこそば〜

20年間生きてきて、一度もやったことのないことがある。 それは、日本から旅立つことである。というか岡山県より西に行ったことがない。自分がどれだけちっぽけな場所で日々を送ってきたのかを感じるために、海外へと羽ばたくことにした。 海外デビューの場…

街路樹

窓を開けたら吹き込む風に ひらりと舞うのは温もりか 目覚めた隣 微笑む朝陽 今年は幻 見てしまう からっぽの部屋 別れを告げて ガタゴト揺れてく日常が まるであの日の幸せまでも 置き去りにしたようで寂しくて 街の色が変わってくごとに 霞んでいくのが怖…

EMANON

昇降口の扉をガラッと開けたときの、こもったような匂いと、冬の朝に散らばっている埃と、弾けたような一筋の光。名前のつけようもないスナップ写真みたいな一瞬が、パラパラとこぼれながら続いていく。きっと切り取られて初めて写真と気づくような、壊れそ…

シンギュラリティ

正月は大体晴れている気がするというツイッターの投稿を読んで、たしかにその通りだよなとWikipediaの「特異日」を読んでみると、別に正月は特異日ではなかった。気のせいだったらしい。特異日とは、前後の日と比べて偶然とは思えない程の高い確率で特定の気…