ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020

どこか、非日常であり続けている。 パソコンとしばらくにらめっこしていても、出てくるはずの言葉が出てこない。2020年はとにかく「言葉が足りていない」と思う一年だった。そして、意図的に情報を遮断することが多かった。 なんとなく、慣れてしまっている…

サクリファイス

小一で苗字が変わった友人を「魔法みたい」と形容したこと 教室は缶が似合うよこぼしてもハッピーだもん不合理ハッピー 昼休みカップ麺ばかり食っていた奴を本気で羨んでたこと 自由とは辛いものだと小三に教える夏の自由研究 書写の日に休むと休んだ証明が…

断片の輝き

以前、見ず知らずの高校生に対してオンラインで勉強を教えるバイトをしていたことがある。 生徒が分からないところの写真を撮って投稿し、教えられそうな講師が立候補して個別指導に入るというシステムだ。分からないところだけを迅速に解決できる、なかなか…

二周年

このブログを書き始めて今日で二年が経ちました! 最近は更新頻度が落ちていますが、色々終わったらまた書きたいなあ。よろしくお願いします!

アーカイブ

もう、インスタの投稿ぜんぶアーカイブにぶち込んじゃおっかな。 隣にいた若者が、夜の色を纏った電車の中で唐突にそう言った。 若者の友だちと思われる男は怪訝な顔をして、アーカイブとは何なのかと若者に尋ねた。見たところ若者より年上で、インスタの細…

ひとりでいること

ぼーっとしているときによく思い出す景色がある。 それは私が通っていた中学校への通学路の道中で、私がただひとり佇んでいる光景である。私の母校の中学の周りは土地の関係で坂道が多く、私が思い出す場所は、数々の下り坂の終点を結ぶ谷のようなところであ…

「社会不適合者」

新しい文章を書くことが出来なくなっていた。その理由は、近頃の急速な社会変動の中で、安易に言葉を書き連ねることが出来なくなっていたからというのと、ちょうどこの記事が私の書いた文章の100本目だからである。100本目に相応しいものを書こうという気概…

重力と花びら

矢印の根元を〈過去〉とみなしますそういうノリで人を見てます 改行のたびに呼吸がしづらくて文字にも重力があるんだな 正しさは怒りと同化 透過する自意識たちがどうかしていた ゆらゆらと燻る善が食い尽くし滅んでいった寓話のさわり 夏花火の度に探すチャ…

少しだけ早いバイバイ

私たちの世界の外からやってきたウイルスによって、突然日常が葬り去られた学生たちの声を聞いていると、日常の途方もないきらめきみたいなものを、感じずにはいられない。 いま、新型ウイルスの感染拡大を防ぐために、全国の学生たちには突然春休みが訪れて…

隣のホリデイ

日常を切り取るために捨てられたそのアーカイブを探すのが夢 なみなみと注いだ君がこぼしたら、隣でぎゅっと乾かしてやる 「ぽったり」と形容してた 2月末、いきなり暑い日の温もりを 生命はシンプルな手間で繋いでく ザクザクと切る折込クーポン 桃色がリア…

まっすぐに傷

スクロール 明滅してる起業家の刃渡り5kmの顔 新聞の裏で刺された血塗れの誰かは〈誰か〉であり続ける やさしさは他人の定規の上に立つ ミリ単位でも調整できる 5番線 黄色い線の内側でたまたま立っていただけと言う もう二度とオーダーメイドの憂鬱に触るな…

モラル・パニック・ユートピア

「先生、○○くんが□□ちゃんのことを無視しているんです」と生徒の一人が言った。 「それはよくないね。○○くん、何があったの?」先生は○○くんの方を向く。 彼は何も言わなかった。□□ちゃんのことを苦手に思っている彼は、何も言うことが出来なかった。無視を…

知人という貨幣

金をよこせよ、と送ってみた。送ったら満足したので、スマホを机に置いてまたパソコンに向かう。 自分の歳が無用にも積み重なっていくにつれて、机の上に平積みにされた年賀状の束が、年々厚みを失っていく。新年を祝うメッセージが電子化していくことに、僕…