ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

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高台からの強い言葉

人は、基本的に自分の経験から語ることしかできない。 そしてその経験が、自分が立っている足場が、どれくらい高いところにあるかを自覚することはとても難しい。 高いところにいると、自分の経験からこしらえた方程式を押し通しやすい。そのこと自体は誰し…

今、その痛みは自分だけのもの

夕立が降った後の、街を丸ごと洗った匂いが満ち始める時間。日常の生活においてもそういった時間があるように思う。雨が全てを拭い去り舞い上がった空気の粒が光と輪郭を伴って空の中で大きく弾けるとき、頬には清新な風が吹きつける。まるで街全体に風穴を…

正しさがガラクタになるとき

このブログもおかげさまで一年くらい書いているが、書き始めた頃の記事にこういうものがある。 要約すると「理性が感性の領域へと侵食する危険性」について書いたもので、今読み返してみると初っ端から自分の思想ぶっ飛ばしてるなと思いながら、結局一年経っ…

生きがいと死にがい

「なんとなく死にたくなる」という感覚は、6月や梅雨時期にギラギラしている人以外誰もが経験しているものだと思う。「からあげ食べたいかも!コンビニに寄ろっかなー」くらいの感覚で「ちょっと死んでみようかな」って気持ちを抱くということが描かれた漫画…

それでも真面目で居続ける5月病患者へ

僕は筋金入りの真面目な人間である。 「僕は○○○である」の空欄に迷わず「真面目」の三文字を書き入れるだろう。 大学の講義をサボったことはない。病欠か忌引で休んだ以外は全ての講義に出席している。割と教員の要求していることに対応するのが得意だから、…

僕たちの秘密のことば重ねてさ、そして二人の辞書を編もうね

その二人でしか通じない言葉は、とても素敵だと思う。 誰も理解できないような言葉を交わして、街の隅っこで小さく笑っているような二人はとても良い。これこそがロマンチックだと思う。場所は夜景の映えるレストランでも、どこにでもあるチェーン店でも、公…

大学という箱庭

大学3年生になった今、入学当時のことを思い出す。2年前、何もかもが一新された環境におかれた私は、半ばトランス状態に陥っていた。配られるビラの嵐、品もへったくれもない強引な勧誘、すべてが新しく出会う人ばかりで情報量の多いイベントの数々。どこま…

Blanket

夕方から楽しみな予定しか入っていない日に昼間まで寝て、だらっと過ごしている瞬間の、ゆっくりと流れている幸せをつまみ食いするような感覚が、ずっと続けばいいなと思う。 太陽の光が窓から差し込んできて、空気が粒のように輪郭を持った冬の昼下がりの中…

シンギュラリティ

正月は大体晴れている気がするというツイッターの投稿を読んで、たしかにその通りだよなとWikipediaの「特異日」を読んでみると、別に正月は特異日ではなかった。気のせいだったらしい。特異日とは、前後の日と比べて偶然とは思えない程の高い確率で特定の気…

生きているだけで

電子機器に弱い母親のスマホの写真をパソコンに取り込んでいたとき、パソコンに残っている2001年からの写真を見返していた。 アルバムに大量の写真が残っている兄とは違って、次男は残される写真が少なくなりがちで、時代の流れもあって僕の写真は主にデジタ…

普通であることと特別ハラスメントについて

人と違うことをするのが是という風潮がある。 周りに例が見られないことをやり遂げるのは労力が必要だし、やらないよりも何かをやった方が得るものが大きいということも分かる。応援されるものでもある。 でも別にそれは偉いことではない。ましてや人を見下…

主人公

謙虚でありたいと思っている。 というか、謙虚でいれる自分が好きだから、謙虚でありたい。 自分で言うのも何だが、私は聞き分けのいい子どもだった。 怒鳴られること、憎まれることはエネルギーの無駄、せめて自分が長く居る場所は居心地の良いものにしよう…

帰り道は茜空

「何故あなたが時計をチラッとみるたび泣きそうな気分になるの?」 松田聖子の代表曲「赤いスイートピー」の中の歌詞である。邦楽全体で考えても指折りの歌詞だと思う。この一節ほどに「帰る」ことの切なさと胸が張り裂けそうになる苦しさを表現したものはな…

虹をかける天才

私は自他共に認める雨男である。 ハレの日である入学式や卒業式、たのしい遠足や修学旅行も大体雨だったし、荷物を運ぶのが大変な引っ越しの日も雨、ディズニーランドも雨景色を見た日の方が多い。私が出かける日は空模様がよろしくない日が多い。私の上を一…