ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

街路樹

窓を開けたら吹き込む風に

ひらりと舞うのは温もりか

目覚めた隣 微笑む朝陽

今年は幻 見てしまう

 


からっぽの部屋 別れを告げて

ガタゴト揺れてく日常が

まるであの日の幸せまでも

置き去りにしたようで寂しくて

 


街の色が変わってくごとに

霞んでいくのが怖かった

一番になりたい 

そう思いながらも 

なれるわけないと気づいて

 


大きな夢を見てたと知りながら

今夜も遠くで笑っていますように

そんな願いを抱いて目を閉じた

あなたに あなたに 届くように

 


なびく枝先 ワンピースの裾

ぽつりと浮かんだ白い雪

二人で秘密 抱え込んだ日に

座ったベンチはもういない

どこにもいない

 


あなたにとって どんな存在でも

少しでも楽しんでくれたらいい

幸せな横顔は誰のものだろう

無邪気に時は過ぎ去って

 


小さな言葉 仕草や表情に

揺れていた心 今も変わらずに

ありもしない落とし物探してる

くだらないものでも愛しくなる

 


映画館を出た 頬が冷たい

白い息で交わした話はもう

街路樹のどこにも見つけられない

つまらないって言い合えた幸せ

 


大きな夢を見てたと知りながら

今夜も遠くで笑っていますように

次のつぼみが膨らんだ季節には

あなたに あなたに 届けたい

いつでも いつまでも 待ち続けて