ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

スペード3

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何かいい考えはないか、と言われて即座に提案できた試しがない。だから口頭での発表が苦手だし文面での回答が得意だ。

完璧主義なのだろうか。自分が納得できる結論に至るまで、絶対に未完成のものをはいどうぞって提供することができない。

いや、でも手を抜くとこは抜ける。完璧主義とは違う。多分未来の自分がすごいものを作ってくれることを期待して眠り続けているだけなのだろう。「切り札を隠し持っているように思わせてるカードは実際は何の効力もない」という歌詞がミスチルの幻聴という曲にあるが、そんな感じで、「俺は出来るのに時間がかかるんだ」とでも言っておけば何か凄いものを作っているように思わせることができるし、自分自身も騙すことができる。最近そういう傾向が自分の中にあるのだと気づいた。

だが、時間をかけることをやめようとは思わない。スピーディーさや効率性にばかり気を取られて何も顧みることができない状態にはなりたくない。スピードを上げることが誰かを振り落としてはいないか。誰かが時間を割いていることを忘れてはいないか。こう考えることができれば、人がやってくれたことに平気で文句を言うことなど出来なくなるはずである。

平気で人を傷つけることのできる人がいる。その言葉を聞いて誰がどう思うかについて思いを馳せられない人がいる。人が頑張って準備をして決めたことに文句をつけられる人がいる。嫌なことに、そういう人ほど何の悩みもないというように生きているし、無意識的な暴力に傷つけられたことに敏感な人ばかりが損をする。「メンヘラ」と感受性は比例関係にある。そう思う。結局優しい人が傷つけられているのである。

言葉を選ぶことに、最善の策を尽くすのに、時間がかかることを許して欲しい。最速の処理は機械にでも任せて、俺らは最上級の優しさを失くさないようにしようぜ。