ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

あの頃僕らは無敵だった(夏の散文詩 一)

白い半袖シャツの袖を折り曲げ笑う、夏の合図も見慣れた頃に

引きずったあとの靴底と、カタカタ鳴るのはキーホルダー

明日の青を限界まで希釈し続けたみたいな空

コロコロ転がるサイダーのビー玉を集めた不意打ちの海

始発に飛び乗り朝を迎え撃つ、そんなの知らぬと眠そうな声

頬杖の世界から零れる粒がキャンバスにリズムを奏でていくの

宝石の価値は勝手に決めた、おもちゃの剣にルビーを添えた

砂煙をあげた、噛んだら溶けた、あの頃僕らは無敵だった