ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

Fantôme

生と死の狭間をたゆたっていくように、境界をぼかしていくグラデーションのような陽射しの夏の日、迎え火のようにゆらゆらと揺れる街燈が墓標のごとく並ぶ午前3時。生き抜いた蝉の残骸が散らばっていて、蜃気楼に近い生命のうねりが押し寄せてくる。

半袖のワイシャツの袖を折るのが癖だった人。折りたたんだ清新な白さが、涼しく吹き付ける風が、彼女を優しく包み込んだ。

あまりに言葉が足りなさすぎる、最近のゆらゆらと続いていく日常に併走していく形で、あれよあれよと気持ちを結びつけたりするのだけど、どうにも矮小なものに見えてきて進まない。端的に言えば、自己肯定感が低い。