やり過ごされた31×4
一番にとっていたわたしの席 窓ぎわの左端
あなたを見ていた 頬杖つきながら
風のように時間は過ぎていった
あなたから呼ばれることが
それだけで、こんなにうれしい
なぜかしら
ねえ、そんな季節があってもよかったと
今はそう思えるの
きらきら 揺れる
ああ やり過ごされた時間たちよ
いつまでも 美しいままでいて
今日の日を愛せるように
きらきら ゆれていた きせつ
「やり過ごされた時間たち」南壽あさ子
私より小さくなったあなたには 花びらさえも雨粒の音
もくもくとひこうき雲に紛れこむあなた 最後の茶目っ気は灰
空白になりきれなかった空間を愛と呼べたらどんなに楽か
朝方の通勤列車をかき混ぜた匂いをもった昼の葬列
今日だけは、つらつらと書くよりもじっくりと想いを馳せるのだろう