ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

カウンターアイデンティティ

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平成という時代が終わり、新しい令和という時代を迎えようとしている。元号が変わるだけのことかもしれないが、もちろん人生で初めてのことなのですごくワクワクしてしまう。

平成という時代を振り返るほど平成を生きたわけじゃないのだけど、平成に生まれて、体が大きくなって、色々なことが起きて、精神的に成長して、それなりに自分というものが分かってきた。そんな感じだ。平成生まれの平成育ちである。

体の成長が止まった高校の頃、これからは老いていくだけだろうと思っていた。でも、大学2年の後半くらいから、今まで得てきたものが突然自分の中で体系化して整理されるようになり始め、世界にはまだまだ自分の知らないことや価値観があるのだということに気づき、自分が好きなもの、許せないものを文章にするのが得意になりはじめた。やっと自分が考えることに一貫性を持てるようになってきた。まだまだ精神的な成長は続くのである。

 

では、令和という時代はどのような時代になるだろう。きっと想像もつかないような新しい出来事が待ち受けている。

私が令和の目標として掲げたいことは、平成で積み上げてきた自分の価値観を平気でぶっ壊し続けることだ。

大学を卒業し社会人として過ごしていく、その大部分が令和という時代になる。得るものより失うものが増えていくだろう。

失うということは、何も自分が持っていたものをなくすことだけを意味するのではない。自分が獲得できたはずのものをブロックしてしまうことも、「失っている」のだ。私はこれが怖い。自分の確固たる価値観に凝り固まって、他のものを受け付けない、そのような偏屈な人間にはなりたくないのである。なにやら新しいと思われるようなものを見つけたら、ちゃんとそれと向き合っていくことを忘れないようにしたい。

いわゆる「最近の若者は」という定番のフレーズが似合わない人間になり続けたい。生まれた時代が違うだけで優劣が決まるわけないのだから。昔に生まれていたら偉いわけじゃないのだから。

 

元号をひとつ取っても、その人の考え方が現れて面白い。元号が変わるだけなのに何をそんなに騒いでいるのだろうと思う人がいるのは分かる。ただ、それを表に出して冷笑主義に浸っている人が本当にアピールしたいことは何なのだろうか。

こうしたスタンスのメリットは、自分が積み上げてきた価値観に被せられたベールを少しだけめくって見せてあげることで、皆に向けて「私はすごいものを持っている」と示すことが出来ることだ。ベールの中にはどれくらい大きなものが眠っているのか分からないようにする。いつでもベールを完全に脱ぎ捨てることはない。傑作がそこに眠っているのだと、鋭意製作中なのだと示すことが出来る。だから、自分の反対像であるものを否定し、部品だけを見せることに終始する。

否定の切り売りは便利だ。自分とは相容れないものをショーウィンドウに並べて見せることで、自分自身のことは見せなくても、何となく自分自身を他者に「分からせる」ことが出来る。突き放すような態度を取ることで、自分を大きく見せることが出来る。

しかし、そのような態度は自分というものを説明するのを怠っただけのものであり、怠慢としか言いようがない。

いずれ出会う令和生まれの人々が織りなす様々なことを、時代を一括りにして否定するような平成生まれにはならないようにしたい。

もちろん社会の諸事象を批判的に捉えることはとても大切だけど、ただ批判するだけではなく、お返しに自分の価値観を、しっかりとベールを剥がして提示できるようにしたい。押し付けるのではなく。チラ見せするのでもなく。相手の世界を受け入れて常に自分を問い直すことを忘れたくない。

 

でも難しい、今私がやっていることも反対像を否定しながら自分の価値観を見せつけていることである。価値観を押し付けてはいけないという私の価値観も押し付けに過ぎないから、ここの折り合いをどうつけていくかが令和の課題だな。

だからと言えばいいのか、現状はブログという形を取っているし、ここを覗いてくれる人は私の思想全開の自己満足が飛び出してくることを了承してくれているという前提でこれを書いている。ここでは自分の価値観が多少悪目立ちしちゃってもいいかなと甘えている節がある。物好きな皆さんのおかげで、意外とこのブログも続けられている。

まとまった文章を書くことのメリットは、誤解が少ないことと、自分の思想のチラ見せに陥らないで済むことだ。副次的な効果は、レポートを素早く書けるようになることだ。思うことを余すことなくお届けできる手段は、私には文章しかない。文章はいい。本当に楽しい。

 

何にせよ、いつでも自分をぶっ壊す気概で、常に自分をリニューアルしながら、のんびり楽しく過ごしていきたい。素敵な時代にしよう。近いうちに大作を投下できるかもしれないというチラ見せをしながら、平成の筆を擱く。