ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

フランス・ドイツ周遊旅行記⑤〜モンサンミッシェルとオムレツとシードルと牡蠣〜

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前回

シリーズ第一回

 

 

前回からかなり間が空いてしまいました。意外と旅行記って書くのが難しくて、モンサンミッシェルについては適当に書けないなと思ってウジウジしていた結果、二ヶ月近く空いてしまいました。もう春休みも終わっちゃったよ。待ってた人はいないと思うけど、旅行記は続いていきます。

 

ノルマンディ上陸(1月25日)

フランス旅行もいよいよ終盤。バスに乗っているが周りは日本人だらけ。これからどこへ向かうのかというと、「ノルマンディの田舎村」なるところらしい。

この旅行を計画した際、フランスでパリ以外にどこへ行く?という話になった時に真っ先に出てきたのがモンサンミッシェルであった。その旨を旅行会社に伝えてみたところ、日本人観光客用のバスツアーに途中参戦してみてはという提案があったのでそれに乗った。

フランスに居るのにも関わらず周りは日本人だらけ、ガイドさんも思い切り日本語を話す。でも外に広がる景色はフランス。とても非日常な空間だった。

バスツアーに乗っかるために早起きしたから、少し眠い中バスに揺られていたらあっという間にノルマンディの某田舎村に到着。

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スリの脅威に震え続けながら歩いたパリとは違う、のどかな風景が広がっていた。俺はこういうところに来たかったのかもしれないな。

ノルマンディ地方はイギリスとの海峡、フランスの北西部に位置する。温暖な気候で牧草が育ちやすく酪農地帯として有名。海にも面しているから、畜産物と海産物が合わさった料理を得意としている。

ツアーガイドさんが言っていたこの地方の特産品は、カマンベール・ド・ノルマンディを中心とした様々な種類のチーズや、そば粉から作られるガレット、そして林檎が有名らしい。

林檎を原料とした酒、シードルやカルヴァドスが盛んに生産されているそうで、実際に私が降り立った地域の土産屋にも並べられていた。

f:id:SouthernWine29:20190414154317j:imageお土産屋さんの外装。林檎が描かれている。

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シードルは、小粒で酸味の強いリンゴを使い、さっぱりとした飲み口に仕上げてある。また、このシードルをさらに蒸留して造ったものがカルヴァドス。アルコール度数が高めで、主に食後酒として用いられるそう。一ヶ月前に20歳になった私は堂々と飲み比べしてみたが、カルヴァドスに比べてシードルは本当に飲みやすく作られていた。ノルマンディの郷土料理と一緒に飲みたいなあと思っていたが、後にその夢が叶うことになる。ちなみに、シードルのことを英語ではサイダーと呼ぶ。日本で呼ばれるサイダーとは違うもので、日本のサイダーは和製英語なんだね。

この地方の教会にも来訪。

f:id:SouthernWine29:20190414160242j:image本当に造りがすごいよなあ。f:id:SouthernWine29:20190414160237j:image

 

街中の魚屋さん。poisson(魚)が分からなくても何を売っているか分かる親切設計。看板がかわいい。

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オムレツ

さて、バスに乗り込んで再び揺られていると、車窓にモンサンミッシェルが現れ始める。

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写真で何度も見てきたし、相変わらずの曇り空だけど、確かにそこに歴史があるという事実に感動してしまう。

モンサンミッシェル」は修道院だけではなく、その建物のある島全体が世界遺産として登録されている。圧巻だった。

同じバスツアーでやってきたおじいさんおばあさん達と一緒に、のんびり歩きながら小僧の我々がモンサンミッシェルに向かう。大学生は結構珍しいのかもしれない。

昼時に到着したので、島の内部にある店に行き、モンサンミッシェル名物のオムレツを頂く。思えば今まであまり食べ物にこだわってなかったので、ここからは贅沢しまくろうと決意した。いい値段がするけど、経験には替えられない。

先程も紹介したシードルも頼み、優雅なランチ。

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いやこれめちゃくちゃ美味しかった。

オムレツの卵が柔らかすぎて、口に入れた瞬間とろけだす。日本のしっかりとしたオムレツを想像するとびっくりするくらいのとろけ具合。はるばる来た甲斐があったなあというもの。シードルもオムレツととても相性が良く、美味しく頂くことができました。

オムレツの中に入れる付け合わせは野菜以外にも色んな種類から選べる。ぜひご賞味あれ。まあ、いい値段がするので日本で食べてもいいかもね。

 

宝島

腹を満たしたところで、ついにモンサンミッシェルを巡る。

この島はとにかく建物が入り組んだ構造になっていて、箱庭型の3Dゲームを操作している時のようなワクワク感を終始感じながら歩き回った。

とにかく私の性癖に突き刺さるような景色の連続で、こればっかりは私がごちゃごちゃ文章を綴るよりも写真に任せたいところだ。

f:id:SouthernWine29:20190414222253j:imageこういう路地裏の階段がまずツボ。


f:id:SouthernWine29:20190414222227j:imageジャケ写でも撮れそうな神々しい雰囲気。実際ここで撮った。肩に翼でも付けたい。


f:id:SouthernWine29:20190414222306j:imageてっぺんを仰ぎ見る。壁に刻み込まれた歴史の大きさに圧倒される。

ある司教が夢に現れた大天使ミカエルのお告げに従って、聖堂を建てたのが、モンサンミッシェルという名前の由来。修道院の尖塔の上には、大天使ミカエルの像が輝いている。


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f:id:SouthernWine29:20190414222216j:imageジャケ写候補が連発する。とにかく入り組んでいてワクワクが止まらない。もう記事執筆時点ではかなり昔の記憶になっているがそれでも、歩き回っている時の高揚感は思い出せる。


f:id:SouthernWine29:20190414222320j:image鳥。


f:id:SouthernWine29:20190414222234j:image友人がどんどん先に歩いていくので追いつくのが大変だった時が多々あった。なんならモンサンミッシェルでは一回完全にはぐれた。


f:id:SouthernWine29:20190414222328j:imageうーん最高。ゲーム脳だからどこかのスイッチを押せばこいつが動き出すんだろうなあってところまで妄想した。


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f:id:SouthernWine29:20190414222246j:imageとにかく造りが素晴らしい。階段の掛け方とか広場の置き方とか、本気で建築を勉強したくなるレベル。f:id:SouthernWine29:20190414222333j:image
f:id:SouthernWine29:20190414222223j:imageアップダウンが激しいが、その分目が楽しいので全然疲れを感じない。

ああ、ずっとここにいたいなあ。f:id:SouthernWine29:20190414224450j:image

 

非日常的な宝島を歩き回っていたら時間を忘れ、もう夕飯を食べてもいいなという時間帯になった。せっかく海が見えるところにいるから海鮮料理を食べたいなと思いながら、島の下の方のストリートに降りる。
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f:id:SouthernWine29:20190414224439j:image建物と建物に挟まれたこういう道、最高では?正直モンサンミッシェルに行くまでは、あの修道院だけがメインだと思っていたが、本当にこの島全体が楽しい。

 

良さげな海鮮料理が食べられそうなレストランを見つけた。開店時間までちょっと時間があるのでお土産屋さんなどを見て回る。

しかし、時間になってもレストランの中は暗いままだ。あれ?閉店してる?

結局、いつまで経っても店が開かないので、何が何だかよく分からないまま諦めることにした。対岸にもちょこちょこ食べるところがあったのでそっちに行こう。

 

島を出る。
f:id:SouthernWine29:20190414224442j:imageモンサンミッシェルから対岸までは長い橋が架けられていて、徒歩だと40分かかるほど実は遠い。だから、無料のシャトルバスがずっと走っている。バスに乗って対岸の町に帰る。f:id:SouthernWine29:20190414225517j:image

 

我々の泊まった、対岸に位置するホテル「ガブリエル」は、どこぞのゼロ星ホテルとは異なり、内装は色使いが効果的で綺麗なホテルだった。f:id:SouthernWine29:20190414225638j:imageちなみにじゃんけんに負けたので同行していた友人に右のダブルベッドは取られ、俺は左のベッドで寝た。つくづくじゃんけんに弱い男である。

 

モンサンミッシェル対岸の町には、ホテルとそれに併設されたレストラン、そしてお土産屋さんしかない。人はここには住んでいないのだろう。日も沈み始めた頃、レストランに向かった。

 

最高のディナー

ホテルに併設されていたレストランはオシャレな内装。注文したらこれでも食べてなとお決まりのパンをくれた。

私は、せっかくここまで来たので新鮮な海鮮料理を食べたいなとメニューを見ていたら、あるメニューに目を奪われてしまった。

「前菜 牡蠣 6つ盛り」(英語で)

いやこれは食べてえなあ!!!!

f:id:SouthernWine29:20190414230342j:imageはい優勝。白ワインと牡蠣という罪深い組み合わせに舌鼓を打つ。もうお金なんて知らない。俺は食べたいものを食べるのだ。6つの牡蠣が贅沢に盛られている。
f:id:SouthernWine29:20190414230346j:image料理の写真を撮るのが確実に上手くなったな。

一つ一つの牡蠣をゆっくり味わう度に、潮の香りを含んだ濃厚な味わいが広がる。無限に白ワインが進む。ああ、なんていう贅沢。

牡蠣は腹にダメージを与える危険性があるが、そんなことはもうどうでもよかった。旅とはアドリブだ。今ここで食べなければダメだと思った。牡蠣が与えてくれたその大いなる海の匂いは我が故郷を思い出させてくれた。本当に忘れられないディナーとなった。

長々と書いたがこの牡蠣は前菜だというのが恐ろしいところ。美味すぎて落涙していたところにメインディッシュの登場。f:id:SouthernWine29:20190414231308j:image盛り付けがオシャレすぎる。白身魚と野菜を用いた見た目も楽しい料理となっている。基本的に海鮮料理は生の方が好きなのだが、ここまで美味しく調理されるとそんなことは関係ない。もちろん見た目だけではなく味も抜群。程よい塩加減の白身魚にワインが進む。

 

最高のディナーを楽しんでいたら外はすでに真っ暗。夜に満潮を迎えて昼間とは違う景色が広がると聞いていたので、その時間を狙って再びモンサンミッシェルの方へ出向く。めちゃくちゃ寒い。

なかなかいい写真が撮れるのではないかと期待しながら夜のバスに揺られる。灯りがほとんどない暗闇の中を走っていく。

 

f:id:SouthernWine29:20190414231645j:image結論から言うと、いやまあ綺麗だったんだけど写真に撮るのが難しすぎた。月と同じように、直接見るのが一番綺麗。

時期が時期だと、よくパンフレットで見るような、光が水面に反射した幻想的な写真が撮れるんだろうか。あの写真のイメージが強かったから、昼間からあんなに楽しませてくれるとは思ってなかった。

観光地ではあるが、辺りに住民はいないので夜は本当に静かだった。頻繁にパトカーが鳴っていたどこかの都市とは大違いである。

 

1月26日

翌朝。パリに帰るバスは夕方に来るのでこの日はかなりゆったりと過ごしていた。

朝食はホテルのレベルとともにグレードアップしていた。ただ三種のパンだけが来るどこかの朝食とは異なり、ハムや野菜も食べられたし、バナナとかオレンジが丸ごと置かれていた。皮を剥くのが難しかったです。 

 

f:id:SouthernWine29:20190414232308j:image昼間はまたモンサンミッシェルを楽しんだ。

 

この地方は他にも仔羊の肉料理が有名だと言うので、この日の昼ごはんは肉を味わった。
f:id:SouthernWine29:20190414232303j:image相変わらず芋の量がメイン料理に匹敵するくらい多く、しかもセンターを取っている。ラム肉はあまり日本で食べたことがなかったのだけど、臭みもなくて美味しい。

店はテント式だったから扉がなく、鳩が店内に入り込んできた。横のインテリそうな見た目の眼鏡の兄ちゃんは至近距離に鳩がいても構わず仔羊の肉を喰らっていた。

 

この地方のもう一つの名産品は塩キャラメル。帰国後、友達の多くに渡した塩キャラメルはここで買いました。

f:id:SouthernWine29:20190414232259j:imageバスまで時間が有り余っているので本場のオランジーナと一緒にクロワッサンを食べながら、翌日からのドイツ旅行の計画を立てた。この旅行、全部アドリブで決めている。

外国にいるとは思えないくらいの居心地の良さ、友人は少しうたた寝もしていた。

 

それにしても、昨日の昼にオムレツと一緒に食べたシードルが忘れられない。やっぱりお土産として買おうとシードルの瓶を購入した。割れないように、丁寧丁寧丁寧にタオルを何重にも包んでスーツケースに入れた。

しかし、これは帰国後の話だが、この酒めちゃくちゃマズかった。マズイというか飲んではいけないレベルの味がした。なんというか酢を直接飲んでいるような。

タオルに何重も包んで日が経っていたから発酵でもしたのだろうか。なんにしても、あんなに丁寧に持ち帰ってきた酒がマズかったのは何とも言えない気持ちになった。

 

夕方ごろパリへのバスが到着した。昨日と同じように、旅行会社のツアーに途中参戦する形になった。

この日は土曜。ご存知の通りパリでは2018年11月から毎週土曜、燃料税引き上げへの反対が主な理由である「黄色いベスト運動」と呼ばれる大規模なデモが起こっている。この記事を書いている2019年4月現在も続いているらしい。

デモが深刻な場合、バスが来ないかもしれないと言われていたので、ちゃんとパリに帰れるようで安心した。パリに帰ってきたバスの車内からは直接デモの様子は見えなかったが、パトカーの光と思われる青い光は何度か見えた。

 

今後フランスに行く予定の人は、毎週土曜のパリのデモには十分気をつけるようにしてください。

 

f:id:SouthernWine29:20190414234053j:imageまた、バスの運転手が気を利かせてくれてエッフェル塔のライトアップが特別になるタイミングで近くを通るようにしてくれた。日没後から24時まで毎時0分から5分間、エッフェル塔はキラキラと光るようになっている。これはシャンパンフラッシュという名前が付けられている。夜景に弾ける光が綺麗だった。バスツアーじゃなかったらこのフラッシュを見ないまま帰っていただろうな。


f:id:SouthernWine29:20190414234057j:imageオペラ座の近くにバスが到着し、ツアーは終了した。デモの日でもあるので治安が心配だったが、特に何の問題もなく歌舞伎町みたいな街の例のゼロ星ホテルに帰ることが出来た。

先日までとは別の部屋に案内されたが、少しクオリティが上がっていた。バスタブがあるしアメニティが少し増えたし、ベットメイキングがされている。一つ星くらいにはしてやろうかな。

 

明日からはドイツ旅行。次回はいつになるかな。気長にお待ちください。