ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

青春18きっぷ2018夏 東北絶景の旅⑤ 〜一人旅の終わり、旅の終わり〜

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青春18きっぷで東北の絶景を巡る旅 パート5。今回で最終回です。

 

前回の内容はこちら。

シリーズ一回目はこちら。

 

前回のあらすじ

秋保大滝という秘境の地で高校時代の友達と偶然会うという奇跡が起きる。

 

秋保大滝(Take2)

そんなことが本当に起こるんだなと思った。

駅前とかで会うならまだ分かる。お互いに東北に居るって分かっていれば、仙台駅とかで鉢合わせることは出来たはずだ。

しかし、宮城の内陸の山の中で、偶然同じ時間に居合わせるというのはどういう確率なのか。お互い、東北に居るということも知らなかったのに地元ではなく旅先で。

驚きのあまり上手く言葉が出なかった。友達は面白かったのか、あまりの恐怖にハイ状態になってるのか、笑いが止まらない様子だ。無理もない。東北の山の中から浮浪者みたいな佇まいの俺が出てきたら俺だって怖い。通報も辞さない。

幸いにも友人達は通報をすることなく、とりあえず山の中から出てきた俺を暫定「俺自身」だと信じてくれた。彼女達は、今から秋保大滝の滝壺に向かうのでせっかくだから案内してほしいと僕に言った。先ほどお別れを告げたばかりの秋保大滝にまた向かうことになる。Take2だ。

 

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「やあ」とまた倒木が出迎える。何回通っても滝壺への道は険しいもので、まさか二往復するとは思ってなかった僕の身体は急速にバキバキになり始める。

 

f:id:SouthernWine29:20180911233346j:image滝 Take2

当然さっきと同じ滝なのだが、一人で見るものとはまた少し違う味わいを感じた。

 

数十時間一人旅をしてみて分かったが、やはりこのような景色を目の当たりにした時の感動を即座に共有できる人の存在は貴重である。一人で旅をしていると写真を撮ることでしか感動を共有できない。僕が選んで僕が縁取ったものだけをお届けすることになる。

誰かと一緒に旅をしている場合、僕には決して気づかないようなことや知らないことを教えてくれたり、新しい切り口で感動を伝えてくれたり、美味しいものを一緒に食べるモチベーションが上がったりする。今日の昼食がIKEAのチキンであったことから分かるように、一人旅だと食事のクオリティが下がる傾向にあり、それは美味しさというスマホ越しでは共有できないものを含んでいるからではないだろうか。

そんなことを思いながら僕は、一人旅を一時中断して誰かと旅をする、そんな楽しさを噛み締めることができた。靴が泥で汚れたことを笑いながら話せるような環境が、うれしい。

 

 

青春18きっぷの旅(ドライブ)

何より有り難かったのは、彼女達は車でここまで来たらしく、あと一人くらいなら乗せられると言ってくれた。バスで仙台駅に戻るにはまたお金がかかる。交通費をケチることに主軸を置いている青春18の旅ではこの上なく有り難い提案であった。

 

今回の旅は、電車にも乗ったしバスにも車にも乗った。贅沢パックだ。雨で洗われた緑の山々の間を縫うような道を、友人の運転する車で走るのはとても楽しかった。f:id:SouthernWine29:20180911234636j:image

秋保温泉に行くつもりだったが急遽プラン変更。仙台駅に向かう彼女達に同行させてもらうことにした。

途中、東北で暮らしている運転手の友人がオススメする秋保温泉街のスーパー、「主婦の店 さいち」に寄り道。一見普通のスーパーだがこの店、とにかくおはぎで有名らしく、度々メディアにも出てくるらしい。これはいただくしかない。

 

はい、薄々勘付いている方もいらっしゃると思うが、友人と出会ってから極端に写真を撮る枚数が減っておはぎの写真も撮り忘れた。申し訳ない。僕は一番有名な餡子味を食べたがとても美味しかった。普通のおはぎよりサイズが大きく満足度が高い。他にもきな粉やゴマ味もあるのでまた食べたい。

 

何だかんだであっという間に仙台駅に到着。何故か行きより一人乗客が増えた奇妙な状態でレンタカー屋さんに帰還し、今日地元に帰るという友人達を仙台駅で見送った。気持ち的には僕も一緒に帰りたいところだったが、夜行バスを予約済みだったためもう少し一人旅は続行。この旅を彩ってくれた友人達には感謝してもしきれない。本当にありがとう。

 

 

旅の終わりはやっぱこれ

仙台の街を歩いていく。東北大学方面に友人のおすすめするお風呂屋さんがあるらしい。

そう、やっぱ旅に来たんだからいいお風呂に入らないと。ラドン温泉と岩盤浴のある旅館、「天龍閣」に向かう。駅から25分というギリギリ徒歩で行こうと思うアクセス。この旅の中で一番都会を歩いていた気がする。さすが仙台。

f:id:SouthernWine29:20180912001024j:image結局最後まで雨が降っている旅だった。雨男伝説は揺らがない。

歩いているうちに日が暮れていく。天龍閣への道の最後は割と角度のキツい登り坂が待ち構えている。f:id:SouthernWine29:20180912001224j:image俺は割と暗い夜道を歩くことに定評があるらしい。

天龍閣に到着。古きよき旅館といった感じの内装で、入り口にはこれでもかというくらいスリッパが並んでいて、その奥のロビーには高そうな絵画や壺や皿が飾られていた。券売機で風呂と岩盤浴のセットを購入したら「岩盤浴ですか」とちょっと意外そうに言われた。あまりメジャーじゃないのだろうか。 

 

岩盤浴の説明を受けてから、まずは普通のお風呂に入浴。夜行バスに乗る前に体を洗い流せるのはありがたい。想定外の秋保大滝二往復で疲れた身体が癒される。お風呂に入って身体を綺麗にして毛穴を広げてから岩盤浴に入ることでより効果があるらしい。

岩盤浴エリアに入ると運良く客が僕しかいなかった。やっぱりあまりメジャーじゃないのだろうか。僕は岩盤浴が趣味という変な友人に連れられてよく岩盤浴に行くのだが、今回のは今までで一番温度の高い岩盤浴だった。ちなみにその友人は「愛する人岩盤浴に入りたい」という名言を残している。

入った瞬間に汗が吹き出そうになったが息苦しさはなく、たった一人灼熱の空間で寝転がっている間、心地よい汗が僕の全身を伝う。全身の老廃物が流れ出ていくようだ。

 

天井を眺めてぼーっとしている間、僕は今回の旅の思い出を一つずつ振り返った。正直、秋保大滝での再会という出来事が強烈すぎて他の思い出が吹き飛びそうになったが、黒磯駅の大混雑や郡山駅の謎のオブジェや早戸駅ノートの率直すぎるコメントなど、他の思い出もなかなかに強烈だったため吹き飛ばされずに済んだ。今後これを超えるような旅が出来る気がしない。

結局岩盤浴は誰も来ることがないまま終わり、全身の汚れや疲れを洗い流して最高に気持ちが良かった。やはり岩盤浴の幸福感は癖になる。

 

ロビーに戻ると小腹が空いたので、先程仙台駅で購入した笹かまぼこを開封して食べた。f:id:SouthernWine29:20180912003131j:imageおいしい。今回の旅でようやく地元色の強い食べ物を食べた気がする。これが僕の夕飯(後でちゃんと仙台駅の立ち食いそばを食べました)。

 

 

 

再会

f:id:SouthernWine29:20180912003314j:image旅館を出てバスで仙台駅に戻ると、さっきよりやけに人が増えていた。しかも皆同じような服を着ている。

 

 

 

そう、乃木坂のライブ終わりのファンが大量に仙台駅に出現したのである。

 

 

乃木坂、再び。

 

今回の旅は乃木坂に始まり乃木坂に終わった。ファンたちを見かけたとき、何故か旧友と再会したような謎の安堵感を覚えた。夜の無人駅を彷徨ったりもしたけど、僕は無事に帰ってきたよ。

岩盤浴好きの友人が大好きな齋藤飛鳥が写っている仙台駅構内の特別広告を道行く人々がカメラに収めている。僕は、撮らなかった。それでも、何だか少しファンになりそうな気が、した。

 

f:id:SouthernWine29:20180912003852j:image夜行バスって何か趣深いよね。

 

こうして僕の二日間の青春18きっぷの旅は終わりを告げた。行き当たりばったりで正直同じ電車を往復したりしてあまり賢いルートではなかったかもしれないけど、このルートじゃなければ友人にも乃木坂にも出会えなかっただろうと思うと、適当だった俺、グッジョブ。といった感じだ。

 

青春18きっぷ、やっぱりいいですよ。今度は冬に暖かいところにでも行きたいんだけど、利用期間が大学のテスト期間と丸被りなんだよなあ。しんど。

まあ、またどっか旅に行きましょう。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。f:id:SouthernWine29:20180912004550j:image