青春18きっぷ2018夏 東北絶景の旅① 〜強敵乃木坂46〜
綺麗な景色を見たい。見知らぬ地を訪れたい。
「よっしゃ、東北の絶景を見に行こう」
鈍行でゆっくり気ままに旅をする「青春18きっぷシリーズ」 2018年夏編。今回の行き先は、知られざる秘境の宝庫、東北です!
※2018年春編はこちら
東北はなんとこの旅で人生初上陸なんです!前から行ってみたかったんですよね。
全く未知の空間を青春18きっぷで移動するまたもや無謀な旅。しかも今回は(ほぼ)一人旅です。見知らぬ地で暴れ回った旅でしたが、予想外の出来事が多すぎてかなり面白く充実した内容になりました。そんな破茶滅茶な旅の記録、えらい細かく描写してたらアホみたいに長くなったので分割してお届けします。それではどうぞ。
一日目
那須塩原まで順調に進む。
18きっぷの朝は早い。予定通り朝6時に出発。地元から上野まで進み、宇都宮で乗り換えた。途中からボタンを押してドアを開閉するタイプになって、遠くへ来たんだなという感慨を抱く。車内のほぼ全員が宇都宮駅まで爆睡していた。
サクッと言っているがここで2時間かかっている。しかしこれくらいは慣れたものだ。春に体験した熱海から浜松の3時間座りっぱなしに比べたら楽ちん。
宇都宮駅で多少時間があったのでホーム内を散策。日光線は洒落たホームのデザインだったがこれには乗らず、宇都宮線黒磯行に乗り換える。
宇都宮線は走行中やたら電車がカタカタ鳴っていたのと、隣のおばさん達の会話が急に盛り上がったり途切れたりしてこっちが不安になったことをよく覚えている。彼女達の会話のメインテーマは「ここがダメだよ、自分のスマートフォン」だったと思う(推測)。「ボタンを誤タップしてしまう」「細かすぎてよくわからない」「ドコモのらくらくスマホがベスト」
車内で地元の人々が織りなす光景を見るのも青春18きっぷの醍醐味である。
車窓から見える景色も次第に緑が増えてきた。旅をしている感覚が否応にも掻き立てられる。雨男を今回も遺憾なく発揮し、空は相変わらずの曇り模様。
終点の黒磯駅まで乗ろうかと思っていたが、那須塩原駅で一旦降りてもその先の時間に影響はないことを知り、終点一個前の那須塩原駅で降りた。
那須塩原駅は周辺にやたらレンタカー屋さんが多かった。40分程度の滞在時間であまり遠出は出来ないのでひたすら駅舎周辺を徘徊する不審者となった。レンタカー屋さんのお兄さんも訝しげに僕を見ていたと思う。駅舎の人工物感が僕のタイプだったので写真をかなり撮った。
駅舎の表側はこのようにかなり綺麗に整えられているが、
裏側はこんな風に人工物丸出しになっているのがツボだった。塗装の剥げた看板、錆びた鉄パイプ、時々聞こえる機械音が良い。
この写真の左は人工物、右は自然という構図が堪らない。こういうところで好きなだけ立っていられるのも一人旅の醍醐味である。
駅前にそびえ立つ建物。何かと思ったら交番だった。お洒落!
ちなみに僕が今まで訪れた本州で一番の北の地方は那須である。ここから先は僕の本州最北記録を更新していく旅となった。
黒磯駅で異変。
さて、時間が来て黒磯駅まで一駅だけ乗車。先ほどと同じ宇都宮線に乗っていたのだがさっきと比べて車内にやけに人が多かった。この時点で異変は始まっていたのだが、日常的にこんなものなのだろうと思っていた。
事件は黒磯駅到着後に起きる。宇都宮線の扉が開いた瞬間、人々が一目散に階段の方へ駆け抜けるのだ。
これを目の当たりにしたとき、最初はこれが噂の「黒磯ダッシュ」か、と思っていた。
宇都宮方面からの列車は、すべてこの駅止まりとなり、ここで、福島方面に行く列車に、乗り換えなければならない…(中略)…乗り換え時間があまりないのと、黒磯から福島方面に行く列車は編成が短くて、席が少ない。だから、みんな、走る、走る。
しかし、この日はダッシュというより人々が階段で押し合うモッシュ状態だった。皆が我こそはと階段を登ろうとするのでおしくらまんじゅうになり全然前に進めないという異様な光景が広がっていた。マリオパーティでこんなミニゲームなかったっけ。「かいだんのぼれ!」みたいな。ねーな。可哀想なのは階段を下る少数の人々である。手すりから身を乗り出して下りる人もいた。さながら脱出劇であった。
僕は命からがら階段を登りきり跨線橋を渡る。窓から見える黒磯発郡山行の電車は2両編成。地獄である。黒磯まで5両編成の電車を満員で来た人々が、2両編成の電車に全員乗れるはずがない。もはや座れるかどうかの戦いではなく乗れるかどうかの戦いであった。
しかもこの電車を逃すと次は一時間後という危機的状況。僕はなんとしてでも電車に乗ろうと突入を決意。何とか乗り込めたものの到底人権があるとは言えない形で押し込まれる形となった。
おじいさんが「この電車を逃すと大変なことになるんだ」という切実な名台詞を連発し乗り込むのに成功していたのが印象的だった。
扉は無情にも閉まる。おじいさんは周りの人に何度も感謝していた。「この電車を逃すと大変なことになるところだった…」と何度も呟いていた。孫の結婚式でもあるのだろうか。ジャージ姿だったけど。
車窓から見える黒磯ダッシュに敗北を喫した人々の姿は、哀愁そのものだった。強く生きてほしい。
異変の正体。
青春18きっぷはエクストリームスポーツとは聞いていたが、まさかこんな場所で通勤ラッシュの都内以上の混雑を味わうことになるとは。25分間の乗車時間が無限に感じられた。
どうも今日はおかしい、流石に青春18きっぷのシーズン毎日これってことはないだろう、と上手くバランスの取れない変なポーズのまま車内でツイッターを検索すると、この黒磯大混乱の黒幕が姿を見せた。
「乃木坂46 真夏の全国ツアー2018 ひとめぼれスタジアム宮城公演」
犯人はこいつだった。
18キッパーと乃木坂ライブ民が重なって黒磯駅が阿鼻叫喚。なお次の1時間後の新白河行きも2両なのでそれも全員乗車できるか不明な模様(3枚目も全員積み残し) pic.twitter.com/7tiuKrBnxU
— サヒミツ@D4DJ1st+RAS (@sahimitu) 2018年9月1日
【悲報】
— ゆめ⊿ (@ngzk_4ever) 2018年9月1日
JR東北本線、2両編成という舐めプで乃木オタを大量に黒磯駅に残す
つまり、ライブが行われる宮城まで鈍行で行ってやろう!という発想の乃木坂ファンが大量に押し寄せて、このような惨劇が起こったらしい。宮城のライブのために栃木県の駅が大混雑するという、風が吹けば桶屋が儲かる的な珍事。
乃木坂46というグループの影響力の高さに脱帽。
まあ僕としては希少な出来事に遭遇できたのでむしろ楽しい気分になったのだけど、積み残されて一時間放置された人々のことを考えると切ない。
(ちなみにライブ2日目となる翌日の同じ電車は、5両編成になったよう。賢明な判断だと思います。)
しかし、ここで重大な事態に気付く。電車には乗り込めたものの黒磯大混乱により電車が10分以上遅延していた。
そしてここからの僕の乗り換え予定がこちら。
そう、このまま遅延が続くとこれ以降の電車に間に合わないのである。郡山→会津若松の電車が一時間に一本、会津若松→早戸の電車に至っては三時間に一本なため、一つの遅延が大幅に予定を狂わせることになる。
僕と乃木坂ファンが辿るルートは郡山まで一致している。となると、郡山から会津若松に行く電車はマジョリティではないので、待ち合わせはしてくれず予定通り発車する可能性が高い。このままでは間に合わない。タイトなスケジュールを組んだ僕が悪いのだが、おのれ乃木坂46。
電車内で一人焦る僕。乃木坂のライブに行くわけではないのにこちらも時間に追われているため乃木坂ファンと一緒にすし詰め状態の電車に乗るのはなかなか過酷であった。削られる体力。
さあ、波乱の幕開けとなった。僕は無事会津若松行の電車に間に合うことができるのか。
②に続きます。
え?全然絶景がないじゃないかって?
次回はちゃんと絶景が広がる(予定)ので許して。
しかしまあ、黒磯駅はある意味絶景でしたよ。
次回