ノートの端っこ、ひこうき雲

ひと夏の思い出、には留まらせたくない。

シーソーの向こう側

何か好きなものを語るとき。「○○だから良い」と一緒に何かとの比較があった場合、本当に好きなのかな?と思ってしまう。本当に好きならば、比較なんていらなくて、ただそれだけで好きだと思えるはずで、「好きなものは好き!」と言えるはずで。 好きなものを…

フランス・ドイツ周遊旅行記①〜国際線でわんこそば〜

20年間生きてきて、一度もやったことのないことがある。 それは、日本から旅立つことである。というか岡山県より西に行ったことがない。自分がどれだけちっぽけな場所で日々を送ってきたのかを感じるために、海外へと羽ばたくことにした。 海外デビューの場…

街路樹

窓を開けたら吹き込む風に ひらりと舞うのは温もりか 目覚めた隣 微笑む朝陽 今年は幻 見てしまう からっぽの部屋 別れを告げて ガタゴト揺れてく日常が まるであの日の幸せまでも 置き去りにしたようで寂しくて 街の色が変わってくごとに 霞んでいくのが怖…

EMANON

昇降口の扉をガラッと開けたときの、こもったような匂いと、冬の朝に散らばっている埃と、弾けたような一筋の光。名前のつけようもないスナップ写真みたいな一瞬が、パラパラとこぼれながら続いていく。きっと切り取られて初めて写真と気づくような、壊れそ…

シンギュラリティ

正月は大体晴れている気がするというツイッターの投稿を読んで、たしかにその通りだよなとWikipediaの「特異日」を読んでみると、別に正月は特異日ではなかった。気のせいだったらしい。特異日とは、前後の日と比べて偶然とは思えない程の高い確率で特定の気…

生きているだけで

電子機器に弱い母親のスマホの写真をパソコンに取り込んでいたとき、パソコンに残っている2001年からの写真を見返していた。 アルバムに大量の写真が残っている兄とは違って、次男は残される写真が少なくなりがちで、時代の流れもあって僕の写真は主にデジタ…

1998→

大学二年生になって印象に残っているのは、後輩たちに2000年生まれが紛れ込んでいたことだ。つまり世の中の高校生は大部分が2000年以降に生まれていることになる。全国の高校では1○○○年生まれは絶滅危惧種だし、小中学校では既に絶滅した。 昨年、世界で最後…

たとえば12月の夜に

12月は一番好きな月なのに、一番思うことが色々ある月なのに、ちっともブログを更新していない。こりゃまずい。書きまくろう。残しておこう。多分今日から怒涛の勢いで書いていくと思います。個人的な人生の節目も控えているので。 ずーっと前に書くのを予告…

普通であることと特別ハラスメントについて

人と違うことをするのが是という風潮がある。 周りに例が見られないことをやり遂げるのは労力が必要だし、やらないよりも何かをやった方が得るものが大きいということも分かる。応援されるものでもある。 でも別にそれは偉いことではない。ましてや人を見下…

スペード3

何かいい考えはないか、と言われて即座に提案できた試しがない。だから口頭での発表が苦手だし文面での回答が得意だ。 完璧主義なのだろうか。自分が納得できる結論に至るまで、絶対に未完成のものをはいどうぞって提供することができない。 いや、でも手を…

ネビュラの空

かなしみが深く深く私の身体を沈めてしまいそうなとき、ただひとつ、私を助けてくれるのは、そんなあなたでいいよ、という無条件の肯定だ。ここにいるだけでいいんだよ、というただひとつの真理を、ずっと口にしてくれることだ。 なにか、信じられる風景や人…

こんにちは

アイデンティティとは外にも内にもあるものではなくて、過去の記憶や未来のイメージにもいない。「わたし」は「わたし」の外にも内にもいないし、「自分探し」をしても「自分」はいない。どこか遠い国の景色の中に自分が転がっているわけではない。徹底して…

ぶっ壊れない夜のために

中途半端な時間に目覚めて、まだ夜明けまで意外に時間があって、明日は休日だからいいか、とそのまま夜を貪るように起きている時間が好きだ。ただ夜更かしをしているときとは違って、もう寝なくてもいいんじゃねーの、みたいな無敵感が心地よくて。 誰に連絡…

ベストアルバムから落選すること

2時間目が始まる廊下で自分の好きな語感の言葉を教えてくれた人は今、華やかな舞台に立っている。3時間目が始まるロッカーの中を少し整理しながら、ロッカーの汚さと部屋の汚さって関係あるのかね、こんな人間性だと思われたくはないものだねと話した人は今…

31×4の夜

ディスプレイ映る時計のゾロ目とか わたしと同じイニシャルだとか 深夜には爆発させる絶対に だからひとまずなにか食べよう とりあえず 明日の朝は来ないから わたしが止めてみせるから、ほら ぽろぽろとこぼれる白に 「ああ、なんだ」ととぼけた顔で 今日も…

くちぐせ

彼は、伏し目がちに喋る人だった。 口数は少なくても、言葉をひとつひとつ大切に選んでいることが分かるから、安心して話を聞いていることが出来る。 きっと、彼は少しだけ生きるのに不器用なだけだったのだ。 よく晴れた日、向こうのビルや街路樹の輪郭がス…

「君を不幸にできるのは宇宙でただ一人だけ」と歌っちゃうスピッツ『8823』

こんな歌詞を書ける人、地球上のどこを探しても草野マサムネしかいないと思う。 スピッツ『8823』の二番のサビに突然ぶち込まれるこのフレーズ。 「君を不幸にできるのは宇宙でただ一人だけ」 曲がりなりにも趣味で作詞をやっている私ならおそらく、「君を幸…

好き嫌いくらい一人でやりたい

「好き」を貫いている人は、なんだか格好いい。 私がなんだか憧れてしまう人は、自分が好きだと思うものを、周りにどう思われるかなんて気にせずに貫き通している。自分が好きなものに相手の評価なんて関係ないだろい、って背筋を伸ばしながら「好き」を守り…

朝日の香り

よく陽射しが差し込んだ清々しい朝、無駄に意識の高かった昨夜の僕がセットしたアラームが部屋中に鳴る。鼓膜に「夢ならばどれほど良かったでしょう」というフレーズが流れ込んでくる。なぜ米津玄師の「Lemon」を目覚ましソングに選定したのか、昨夜の僕は気…

空白の日記

すごいな、私には絶対にこの人のようになれないと思うタイプの人がいる。何かを毎日続けることのできる人である。 毎日きちんと日記を書いている人はすごい。私も曲がりなりにも文章好きを自覚しているものだから、言語化をサボらないように毎日少しでも何か…

壊れる

近年、ハロウィンというものにネガティブなイメージを抱かれるようになっている。先日も渋谷のハロウィン騒ぎで羽目を外しすぎた人々がトラックを横転させた事件が物議を醸している。放置されるゴミの山、相次ぐ器物損壊、暴徒化する群衆。もはやこれはハロ…

バウムクーヘン

いや、俺はそう思わないけどな。うーん、そうかなー。なんかズレてる気がするな。えー?それは何か違くない? もうこの画面閉じたくなりませんか?俺はなる。気分が悪くなったらいつでも退室してくださいね。 政治に物申しとかしないタチだけど、これだけは…

霜降

窓ガラスに浮かぶ雫が秋を運んできた夜、白灯に包まれたレモンティーを飲みながら、僕は机に向かっていた。視線の先には二枚の紙切れが置かれている。手書きの文字が今にも踊り出しそうに書かれた手紙の、その行間に詰められたいたずらっぽい笑顔が思い出さ…

さよなら大好きな人

何もかも忘れられなくていいし、何もかも捨てられなくていい。 明日また会えるかのようにさよならを言えたなら。笑顔を覚えておくために、おどけてみせよう。

主人公

謙虚でありたいと思っている。 というか、謙虚でいれる自分が好きだから、謙虚でありたい。 自分で言うのも何だが、私は聞き分けのいい子どもだった。 怒鳴られること、憎まれることはエネルギーの無駄、せめて自分が長く居る場所は居心地の良いものにしよう…

未来のあなたと交差点

自分の友達と別の友達が実は繋がっていた、というのはよくある話である。同じ高校の出身だったり、地元が同じだったり、今まで私が聞いた話で一番すごいと思ったのは、自分と同じ苗字だと思っていた友達が幼少期に会ったっきりの親戚だったというものもある。…

やっぱり短すぎる夏だったけど

僕の大学の夏休みは今日で終わり、明日から秋学期の授業が始まる。人生の夏休みの中でも一番楽しい大学二年の夏休み。思い返してみると特に大きい何かをしたわけじゃないけれど、一つ一つの思い出が最高だったので人生最高の夏に出来たと思う。少し振り返っ…

帰り道は茜空

「何故あなたが時計をチラッとみるたび泣きそうな気分になるの?」 松田聖子の代表曲「赤いスイートピー」の中の歌詞である。邦楽全体で考えても指折りの歌詞だと思う。この一節ほどに「帰る」ことの切なさと胸が張り裂けそうになる苦しさを表現したものはな…

虹をかける天才

私は自他共に認める雨男である。 ハレの日である入学式や卒業式、たのしい遠足や修学旅行も大体雨だったし、荷物を運ぶのが大変な引っ越しの日も雨、ディズニーランドも雨景色を見た日の方が多い。私が出かける日は空模様がよろしくない日が多い。私の上を一…

あらかじめ!ステーキ

存在を知っていながら、度々その店の前を通っていながら、まだ一度も入ったことがない飲食店がある。「いきなりステーキ」である。このお店、今ググってみたら正式名称は「いきなり!ステーキ」だった。これは一般正解率10%切る。カズレーザーでも間違える。…